Abstract |
2016 年 1 月から 2019 年 2 月に国内医療機関より真菌検査を目的として提出された検体から分離され,形
態学的に Aspergillus niger と同定された 36 株を対象として,遺伝子配列による同定と Matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry(MALDI-TOF MS)による同定を実施した。その結果,遺伝子配列による解析の内訳は Aspergillus tubingensis 47.2%,Aspergillus welwitschiae 50.0%,Aspergillus neoniger 2.8% であり,A. niger と同定された菌株はなかった。また,MALDI-TOF MS による同定結果は A. niger または Aspergillus niger complex までの同定レベルであり,Aspergillus section Nigri の正確な同定には遺伝子解析が必要となった。Aspergillus section Nigri において隠蔽種の一部に薬剤感受性の低下が報告されていることから,簡便で迅速に同定可能な MALDI-TOF MS で正確な同定を行うためには更なるデータベースの拡充が求められる。
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