| RRC ID |
83807
|
| 著者 |
北村 大樹
|
| タイトル |
細胞内リボソームタンパク質レベルの恒常性制御機構の遺伝学的解析
|
| ジャーナル |
京都大学 博士論文
|
| Abstract |
細胞内でタンパク質の合成を担うリボソームは、真核生物では約80種類のリボソームタンパク質(Rp)から構成される巨大複合体である。これまでの酵母や細胞培養系での研究から、個々のRpの細胞内レベルはネガティブフィードバック機構やユビキチン・プロテアソーム系を介してリボソームの生合成に必要な量だけ存在するように制御されていることがわかってきた。しかし、多細胞生物における細胞内Rpレベルの制御に関する研究はinvivoではほとんどなされておらず、生体内における細胞内Rpレベルの制御の実態、またその生理的意義は不明な点が多い。本研究で申請者は、ショウジョウバエで利用可能な遺伝学的手法を用いて、生体内において細胞内Rpレベルがどのように制御されているのかを解析した。内因性に発現するRpをEGFP融合タンパク質として検出できるノックインショウジョウバエを用いて、その組織中でRibosomalproteinS20(RpS20)またはRibosomalproteinL5(RpL5)を異所的に強制発現させると、それぞれ内因性のEGFP-RpS20またはEGFP-RpL5の細胞内タンパク質レベルが大きく減少することを見出した。一方で、ハウスキーピング遺伝子であるHeatshockprotein83(Hsp83)の内因性タンパク質レベルをEGFP融合タンパク質として検出できる系においてHsp83を異所的に強制発現させてもEGFP-Hsp83の細胞内タンパク質レベルは変化しなかったことから、細胞内のRpレベルは特異的な制御を受けている可能性が示唆された。この細胞内Rpレベルの恒常性制御は、mRNAレベルではなくタンパク質レベルで起こることがわかった。さらなる解析により、細胞内のRpレベルが高まった際、リボソームに組み込まれなかった余剰なRpがプロテアソームで分解されることで、細胞内Rpレベルの恒常性が維持されていることが明らかになった。通常は細胞内で巨大複合体を形成するRpが単独で存在する状態である「遊離Rp」は、タンパク質品質管理システムによって「オーファンサブユニット」として認識され、プロテアソーム系を介して細胞内から積極的に除去されると考えられる。本研究の成果により、細胞内Rpレベルの恒常性が生体内で制御される機構が明らかになったとともに、細胞内Rpレベルの不均衡が誘導する細胞競合の分子機構とその役割の解析に新たな視点と研究アプローチがもたらされると期待される。
|
| 公開日 |
2024-3-25
|
| 解説 |
DOI: 10.14989/doctor.k25452
|
| リソース情報 |
| ショウジョウバエ |
DGRC#109696
DGRC#109768
DGRC#109761 |